内科

術後のオピオイドによる呼吸抑制

10月 9, 2016

術後のオピオイドによる呼吸抑制

Postoperative opioid-induced respiratory depression.A closed claims analysis

Lorri A. Lee, M.D., Robert A. Caplan, M.D., Linda S. Stephenns, Ph.D., Karen L. Posner, Ph.D., Gregory W. Terman, M.D., Terri Voepel-Lewis, Ph.D.,R.N., Karen B. Domino, M.D.,M.P.H.

呼吸抑制

呼吸抑制

Anesthesiology 2015; 122:659-65

背景:術後のオピオイドによる呼吸抑制(RD)は周術期の重要な死因、脳障害の原因である。筆者たちはRDに関連した麻酔の医療過誤事例を調査し障害のパターンから予防戦略を導けるかを調べた
方法:Anesthesia Closed Claims Project databaseの9799症例のうち3人の筆者が1990年から2009年までの急性痛でRD関連の357例を再検討した。患者のRDに関したリスクファクター、管理法、看護評価、イベントが生じたタイミングについて調査した。
結果:RDと確診、あるいは疑われた症例は92あり、その77%は重篤な脳障害か死亡していた。88%のRD事例は術後24時間以内に起こり、モニタリングや対応により97%は予防できたと判定できた。訴訟を免れない因子としては複数の処方者(33%)、非オピオイド鎮静薬の同時投与(34%)、不適切な看護評価、対応(31%)であった。RDになった患者の最終チェックから発見までの時間は2時間が42%で15分以内が16%であった。傾眠がイベント発症の前に記録されたものが62%であった。
結論:この再検討からオピオイド関連の有害事象は多因子的であり、特に最初の術後24時間における鎮静レベルの評価、酸素化と換気のモニタリング、早期対応と医療行為により予防できるかもしれないというコンセンサスを支持した。

術後のオピオイドによる呼吸抑制(RD)Cashman and Dolin(2004) 頻度は0.1%-37%

The Joint Commission’s review of opioid-related events from their Sentinel Event Database from2004 to 2o11 投与量の誤りが半数、不適切なモニタリングが1/3、他の薬物との相互作用など→Alart:RDのリスクを減らすためにハイリスク患者を見極める。非オピオイド系の薬物に変更する、鎮静レベル・換気酸素化を評価する、モニター、RDは適切なモニターで予防できる―今までの報告は事例が少数。今回はthe Anesthesia Closed Claims Projectデータベースを再調査し医療過誤事例から傾向を導き対策を立てることを目的とした。

方法

1990年から2009年のthe Anesthesia Closed Claims Projectデータベースの9799例 から急性痛に関したRDに関係した357例を2段階で選別。2段階目は3人の筆者が検討 Definite RD 1) ナロキソンでリバースされたRD 2)オピオイドの過量投与、呼吸停止や心停止など明らかにRDであるものProbaple RD 1)呼吸数8回/min未満 2)傾眠 3)SPO290%未満 4)縮瞳 5)高容量のオピオイド投与 6)治療を要したRD
Possible RD RDのリスクがあり他の原因が除かれる心肺停止

統計 κ係数による一致度の評価を用いた

結果

9

2例がpossible(27%),probable(52%),definite(21%)RDと認定(81%の一致度

考察

死亡するか重篤な脳障害を生じること、最初の24時間で発生すること、防止は可能であること、という3つの特徴。最初の24時間は全身麻酔薬の残存、オピオイドや鎮静剤が投与され、睡眠が障害されている時間帯。特に重要なのは42%の事例はRDイベントが起こる2時間以内にNsがチェックしていて、その2/3はイベント前に鎮静状態であったのに対処されていなかったこと。このことは鎮静レベルがRDを予測するにもっとも重要であるということを知っているのはNsの20%であるということとよく一致している。オピオイド中毒の初期症状を認識する教育に変える必要がある。12例は15分間隔のチェックの中で発生したことから、生命を脅かすRDが急速に進展するということを示した→連続モニターの必要性。何をモニターするかについては議論の余地がある。少なくとも1/3の事例は2人以上の処方者がおり、1/3は非オピオイドの鎮静剤を同時処方されていた。Procedure-specific pain management (PROSPECT)術式別の疼痛管理、推奨される鎮痛法をwebで公開

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