内科

急性肺塞栓症の患者における院内および長期有害転帰の新規マーカーとしての血小板 - リンパ球比

2月 3, 2017

急性塞栓症の患者における院内および長期有害転帰の新規マーカーとしての血小板 - リンパ球比

Platelet-to-lymphocyte ratio as a novel marker of in-hospital and long-term adverse outcomes among patients with acute pulmonary
embolism : A single center large-scale study

血液内科

血液内科

Elif Hamde Ozcan Cetin et al.
Thrombosis Research 150(2017) 33-40

背景

急性期の肺塞栓症(pulmonary embolism ; PE)は、静脈血栓症(venous thromboembolism ; VTE)の死に至る最悪な臨床経過の一つとしてよく知られている。診断と治療の向上にも関わらず、死亡率は12%といまだに高い。それゆえに、正確なリスク評価と治療への迅速なアプローチに大きな努力が費やされている。

血小板の活性化と炎症は、PEの主な発症原因となっている。血小板数の増加は、血小板活性の増加を表し、有害な炎症反応と引き起こし、様々な生体分子の分泌を増悪させる。また、リンパ球は免疫反応をコントロールし、リンパ球数の低下は心血管予後の悪化と関連すると報告されている。炎症と血栓傾向を血液学的に結び付ける新しい指標として、血小板-リンパ球割合(platelet-lymphocyte ratio ; PLR)が、簡便にさまざまな臨床状態を予測できるとして広まりつつある。最近の報告で、PLRはVTEを予測因子となり、またPEの重症度と相関があると証明された。しかし、急性期PE患者の長期的予後を予測するにあたり、PLRが有用であるかどうかを検討した報告はない。そこで我々は、急性期PE患者の院内かつ長期的予後の予測におけるPLRの有用性について評価するべく検討を行った。

白血球との血小板の相互作用は、急性肺塞栓症(PE)の進行および予後の両方において周知のプロセスである。最近、血小板対リンパ球比(PLR)は、間接的な炎症指標として現れ、急性PEを含む様々な臨床状態において有害な心血管イベントと関連することが示された。しかしながら、急性PEにおけるPLRの長期予後値は完全には調査されていない。したがって、我々は、急性期PEにおける院内および長期有害転帰の両方に対するPLRの影響を評価することを目指した。

方法

2009年1月から2016年1月の間に、急性PEの確定診断を有する合計459例の患者が登録された。入院時に、PLRと詳細な臨床データを計算するための血液サンプリングが得られた。入院PLRレベルに応じて患者を三分位に分割した。各患者について、単純化PE重症度指数(sPESI)スコアおよびコンピュータ断層撮影(CT)ベースの肺動脈閉塞指数を計算した。

結果

研究集団の平均sPESIスコアは1.6であった。総計34人の患者(7.4%)が入院中に死亡した。 28.8monthsの中央値で、全原因死亡率は81人の患者(1.9%)で観察された。 PLRの最高三分位の患者は、心原性ショック、血栓溶解療法および院内死亡率の必要性ならびに長期にわたる全原因死亡率を含む、病院内有害事象のより高い割合を明らかにした。多変量解析では、PLRは病院内有害事象(OR:1.588,95%CI:1.116-2.154、p = 0.004)および長期全死因死亡率(OR:1.746)の有意な予測因子であることが判明した95%CI:1.211-2.865、p=0.001)。

結論

炎症性および血栓症の状態の単純で安価で利用可能なマーカーとしてのPLRは、急性PE患者の院内および長期有害転帰の新規な予測因子であるようであった。

-内科
-