循環器内科

糖尿病治療薬と心不全。

10月 25, 2017

糖尿病におけるGLP-1受容体アゴニストおよび心不全。

GLP-1 receptor agonists and heart failure in diabetes.
Diabetes Metab. 2017 Apr;43 Suppl 1:2S13-2S19.

慢性心不全

慢性心不全

2型糖尿病患者では心不全の罹患率が高まり、入院を必要とする心不全の発症リスクには糖尿病薬が顕著な影響を与える。

糖尿病薬による心不全リスクの増加は、チアゾリジン系とDPP-4阻害薬サキサグリプチン(少なくともSAVOR-TIMI53)と一貫して報告されているが、EMPA-REG OUTCOMEでSGLT2阻害薬エンパグリフロジンの2型糖尿病における心不全改善作用は明確に示された。

しかし、GLP-1RAの心筋機能への影響は議論の余地が残っている。様々な動物モデルでいくつかの有望な観察が報告されているが、ヒトにおける心筋機能に対するGLP-1RAの効果はなんともいえないものであるが、左心室駆出率(LVEF)に対する正の効果は一貫しておらず、ほとんどの心不全患者では、どちらともいえないものである。

しかし、第II / III相試験(エキセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、リラグルチド)のメタアナリシスにおいて、心不全薬の入院リスクが増加することは報告されておらず、この薬理学的クラスの安全性が実証されている3つの大きな将来の心血管予後試験(リキシセナチドを含むELIXA、リラグルチドを有するLEADERおよびセマグルチドを有するSUSTAIN-6)によって確認された。特に、心血管疾患のリスクのあるT2D患者の心血管および全死因死亡率の有意な低下とともに、HF入院(-13%、P=0.14)の低下傾向が報告された。これらの結果は、進行心不全および低LVEFの患者におけるリラグルチドの効果を評価したFIGHT試験の幾分否定的な結果に直面して安心しており、そのような患者を治療するためにこの薬剤を使用する場合、さらなる研究および注意が必要となる。

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