呼吸器内科

抗原回避に苦慮した過敏性肺炎の一例

2月 25, 2017

抗原回避に苦慮した過敏性肺炎の一例

船橋市の内科

内科

8x歳男性。平成2x年x月xy日頃から発熱と咳嗽が出現し、x月xy日当院呼吸器内科を受診。肺炎疑いにて治療を開始したが発熱が持続し入院となった。抗菌薬点滴を開始したところ速やかに解熱し退院となったが、退院翌日より39度台の発熱が出現、再入院となった。経過から夏型過敏性肺炎の可能性を考慮し、気管支鏡検査を施行したところリンパ球主体の胞隔炎、肺胞腔内器質化を認め急性過敏性肺炎に合致した病理所見を得た。採血検査にてT.asahii抗体陽性、環境曝露による臨床像の再現が確認されたことから、臨床像、発症環境と併せて夏型過敏性肺炎の診断に至った。家族および業者による清掃と、空調設備の交換を行ったが、帰宅試験は2回とも陽性となり自宅退院は困難と判断、転居を余儀なくされた。転居先にて再度帰宅試験を施行したところ陰性を確認、退院となった。

過敏性肺炎

過敏性肺炎は抗原の反復吸入に伴うⅢ型およびⅣ型アレルギーにより発症するアレルギー性肺炎の総称である。本邦ではそのうち70%を夏型過敏性肺炎が占めるとされる。治療の基本は抗原回避であり、患者の生活環境から原因抗原を除去することが重要である。本例では患者が高齢で帰宅への強い希望があったことから、抗原除去に努めたが十分な効果を得られず転居を余儀なくされた。環境調査の上で、自宅を改築し症状の再燃を防げたとする報告もあることから、今後の経過によっては積極的な環境改善も検討されうる。

今回、抗原回避に苦慮した過敏性肺炎の一例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。

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