逆流性食道炎の症状
逆流性食道炎の典型的症状は胸焼けである。非特異的症状として、胸痛がある。循環器疾患に由来しないという意味で非心臓性胸痛という。耳鼻科領域にわたる症状(咽喉頭異常感症)もある。慢性の咳、肺炎、喘息のような症状が生じることもある。慢性咳をみたらGERDを疑う必要がある。
GERDの発生には様々な因子が関与している。
下部食道括約筋(LES: lower esophageal sphincter)の圧低下が挙げられる。カルシウム拮抗薬、テオフィリン、抗鬱薬、硝酸剤などはLESの圧を低下させ、食道への逆流を増加させる薬物である。ARB/CCB合剤の普及で、それとは知らずにカルシウム拮抗薬を内服している患者は多く、注意が必要である。
プロトンポンプインヒビターは、壁細胞のH+,K+-ATPアーゼに対して非競合的に拮抗し、著明な酸分泌抑制作用を発揮する。GERDに対するPPIの投与は効果が認められる。GERDのほとんどは内科的治療でじゅうぶんな効果が得られるが、約10%に逆流防止手術が必要になる。海外ではGERDに対する内視鏡治療が実用化されているが、日本ではまだまだである。
*金澤一郎,北原光夫,山口徹,小俣政男総編集:内科学,医学書院:1279-1285,2006.