船橋市の循環器内科

心不全症例

3月 2, 2017

心不全の症例

慢性心不全

60代女性。拡張型心筋症によるうっ血性心不全の初回入院(約2か月間入院)。夫と二人暮らし。完全房室ブロックに対しペースメーカー挿入、拡張型心筋症を指摘され外来通院中。定期受診時に下肢浮腫、呼吸苦出現有り入院となった。入院後、カテコラミン、利尿剤、β遮断薬使用し症状改善。心不全に対する初回入院であったため、再入院予防の為に療養生活指導を実施した。自宅での料理を担当していたため塩分制限に興味があり、栄養指導に対し意欲的であった。栄養士が介入し、入院期間に3度の栄養指導を実施した。拡張型心筋症では、過活動による心不全憎悪の可能性が考えられたため、早期での心臓リハビリテーションの介入、夫の協力を得て家事の分担をはかった。セルフケアとして、入院中から毎朝の体重測定の継続、水分量の測定、自覚症状の観察を行った。退院時主治医に体重増加の目安を確認し、早期受診のタイミングを伝えた。2か月間の入院期間を経て自宅退院し外来通院となる。1年半は外来受診のみ、入院時は利尿剤の投与のみで2週間程度で退院となっていた。

心不全症例2

70代男性。急性心筋梗塞による心原性ショック(4か月間入院)。妻と2人暮らし。急性心筋梗塞のため入院。PCPS、挿管、強心剤、利尿剤を使用し改善。入院時、水分制限が守れず再入院の危険性があるため、療養生活指導を実施した。妻より味が濃い物が好きと情報があり栄養指導実施。妻からは退院後の食生活について改善したいと意欲的な発言有り。疾患についての理解が乏しく、水分制限も守れず経過していた。そのため胸水貯留し、呼吸状態悪化、心不全憎悪のため再度挿管となった。1か月床上安静の期間を過ごし、退院に向け再度療養生活指導実施した。心不全憎悪の危険性から水分制限、塩分制限の必要性を学びたいと発言が聞かれた。虚血性心疾患についての簡易的なパンフレットを作成。入院時から体重測定、血圧値の記録を行った。約4カ月の入院期間を経て自宅退院となった。現在は6カ月ごとの外来通院で経過している。

心不全症例3

80代女性。高血圧、慢性腎不全、収縮機能低下による心不全(3ヵ月間入院)独居。血圧200台、EF20%、腎機能悪化、胸水貯留のため入院。入院後カテコラミン、利尿剤、ドブタミンを使用し症状改善。在宅療養に対し強い希望があり、独居である事から療養生活指導介入が必要だと考えた。しかし、腎機能の悪化による心不全憎悪となり主治医からは退院できないと言われ落ち込んでいた。意思を尊重し、在宅での看護介入、訪問介護の利用を提案した。訪問介護士について間違った認識があり拒絶していた。そのため、介護認定、訪問介護について知識を提供し、利用したいと発言が聞かれた。3ヵ月かけてカテコラミンを漸減し、退院方向となった。入院時には体重測定、血圧測定の継続、ペットボトルを利用した水分測定を行った。退院前に、主治医、家族、ケアマネージャー、看護師でのカンファレンスが開催された。現在は、訪問看護師、訪問介護士、訪問リハビリを介入し外来通院で経過している。