船橋市の循環器内科

内頸動脈切開と動脈の蛇行との関連。

11月 12, 2016

内頸動脈切開と動脈の蛇行との関連。

Association between internal carotid artery dissection and arterial tortuosity.

Neuroradiology. 2015 Feb;57(2):149-53. doi: 10.1007/s00234-014-1436-x. Epub 2014 Oct 18.

Saba L1, Argiolas GM, Sumer S, Siotto P, Raz E, Sanfilippo R, Montisci R, Piga M, Wintermark M.

船橋市の循環器内科

Introduction

Internal carotid artery dissection (ICAD)は年間10万人あたり3人が発症する稀な疾患である。

ICADは45歳以下の若年の脳梗塞のうち20%の原因となっており、全体の脳梗塞の約2%の原因となる。ICADを診断することは容易ではないため、ICADの発症率は低く見積もられている可能性がある。近年のICADの症例件数の増加は、診断ツールの大幅な進歩を反映している。

ICADのリスクファクターは未だに議論の的である。これまで示された仮説としては、古典的な血管病変のリスクファクター(高血圧、糖尿病、喫煙、高脂血症、高ホモシスチン血症)や、結合組織異常、頚部の外傷、サイロプラクティック、感染などがあげられる。頸動脈の長さや、頸動脈とその他の構造物との位置関係による相互作用(Eagle症候群の側頭骨茎状突起伸長症等)の幾何学的な要素はICADの発症とは大きな関連がなかった。一般的に、ICADは遺伝的素因を含め多因子病変と考えるべきであり、それらが動脈壁の脆弱性を引き起こし、環境因子(過伸長や回転性の外力)が解離の引き金となる。

これまでの報告では血管の蛇行は18%に存在し、蛇行した血管における血流はICAの角度が60°では40%以上、ICAの角度30°では60%以上減少するとされている。

この研究の目的は、多施設の患者において、ICADの存在と血管の蛇行に関連性があるのかを評価する事である。

Materials and methods

Study design and patient population

治験審査委員会の協力の下で行われ、後ろ向き研究で行われた。ICADの診断が可能なCTAとMRAを共に持つ4つの施設 の患者が選ばれた。MRIではTI強調の脂肪抑制画像において血管壁に壁内血腫があり特徴的な半月状の高信号を呈するものをICADと判断した。CTでは通常撮影で半月状の形を呈した場合や、造影剤使用の撮影において“target sign”が見られた場合にICADと判断した。両側の解離を呈した患者は除外された。解離の原因(外傷性か自然発症か)と共にデータが保存された。

CTA technique

4つの施設において、CTAにおける頸動脈撮影の際肘正中静脈から60から80mlの造影剤を使用し、4-5mml/sで注入し、30mlの生食で後押しした。

MRI technique

MRIに関しては4つの施設でそれぞれ異なるプロトコールで行われた。しかし、全てのMRIで(T1-W SPIR)が撮影され、Time of flight 技術が用いられた。T1-W SPIR画像はこの研究における必須の画像とした。

Image analysis

二人の経験を積んだ放射線科医(9年目と8年目)が臨床情報、互いの読影を見ずにそれぞれがICAの形態学的評価を行なった。評価が異なった場合は、3人目の放射線科医(11年目)が最終判断者となった。血管の蛇行の分類に関しては、MetzやWiebelとFieldsによって示されたものに従った。

結果

フィッシャーの正確性試験は、動脈血管伸長(p = 0.444)と統計的に有意な差は見られなかったが、ICADとねじれ(p = 0.0089)および巻き付け(p = 0.0251)との間に統計的に有意な関連を示した。 ICADは右に比べて左側に多く見られた(p = 0.0001)。これらの結果は、同じ患者の両方の頸動脈を、それぞれ、キンク、コイリングおよび伸長について、p = 0.0012,0.0129および0.3323の従属パラメータとして確認した。

結論

ねじれとコイル巻きの存在はICADに関連している。